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論文構成について考える。パラグラフの最適な順番とは?

photo by Brady Withers


「仮説と結果は一対一の対応になるように」
「理論的・実験的根拠をもとにサンプルサイズを推定するように」
「主要なアウトカムを明確にするように」
「アウトカムにどの程度の差が見られた場合に効果ありと判断するか明確にするように」

注意して論文を書いたつもりでも、査読者から指摘を受けることがしばしばです。
これらの内容は臨床研究を行う際に基本となることですが、雑誌によっては、さらに細かいところまで指摘されるものもあるようです。

例えば、「Clinical Orthopaedics and Related Research(CORR)」という雑誌では、論文作成のガイドラインが公表されています。

Writing for Clinical Orthopaedics and Related Research

このガイドラインで特に印象に残ったのは、(1)対象と方法では、研究を実施した時系列にそって記載する、(2)考察では、導入パラグラフの直後に限界を記載する、という2点です。具体的には、以下のとおりです。

(1)臨床研究において、対象と方法に含むべき要素
①研究デザイン
②パワー分析
③対象者情報
④手術の詳細(実施した場合)
⑤術後ケア
⑥アウトカム測定方法と妥当性・信頼性
⑦統計手法

(2)CORRにおける考察のセクション
①疑問・仮説の再提示(簡潔に)
②限界や仮定に対する解釈
③先行研究結果との比較(データまたは意見)
④比較結果の統合と、結論に至る新しい結果

方法に関して、”時系列にそって記載する”というのは、言われてみれば納得できます。
また、仮説−方法−結果−考察において、主要なアウトカムを明確にし、アウトカムを記載する順番を統一することで、読者が理解しやすいようにしたいものです(査読者の印象も変わってくるのではないかと思います)。

考察で限界を先に提示するということに関しては、これまであまり考えたことがありませんでした。
本ガイドラインの作成者が、限界を考察の最後にしないほうが良いと勧めるのは、結果の解釈に影響する限界を、先に解釈する必要があるという考えに基づいているようです。
確かに、研究の結論に影響する重大な限界があれば、その先を読む必要もない、ということになりかねないので、こちらも納得です。
ただし、今のところ多くの(整形外科、理学療法関連の)論文において限界を考察の最後に記載するなかで、CORR以外の雑誌に投稿する際に、このガイドラインの内容をどの程度一般化できるかは、検討して行きたいところです。



”Form follows function”

生物の解剖学的構造が、必要とされる機能に従って進化していったように、科学論文も、よりサイエンスに基づいた解釈ができるように構造化されていくのでしょうか。

他の雑誌からも同様なガイドラインが提示されていないか、注意してみたいと思います。

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